💡 ツール概要

Klaviyo(クラビヨ)は、ECサイト向けに特化したマーケティングオートメーションプラットフォームです。メール、SMS、WhatsApp、モバイルプッシュ通知など複数チャネルを統合的に管理でき、顧客の行動データに基づいたパーソナライズドマーケティングを実現します。特にShopifyとの深い連携が強みで、世界中の15万以上のブランドが利用しており、EC向けマーケティングツールの事実上の業界標準として広く認知されています。2023年9月にニューヨーク証券取引所に上場を果たし、EC向けマーケティングツールのリーディングカンパニーとしての地位を確立しています。データドリブンなマーケティングを追求するEC事業者にとって、最も有力な選択肢のひとつです。
⚙️ 主要機能の詳細解説
📌 メールマーケティング
Klaviyoのメールエディタはドラッグ&ドロップ方式で直感的に操作でき、豊富なプロフェッショナルテンプレートが用意されています。ダイナミックコンテンツブロックにより、受信者ごとに異なる商品レコメンドや割引コードを自動挿入でき、高度なパーソナライゼーションが実現します。A/Bテスト機能も充実しており、件名、プリヘッダーテキスト、送信時間、コンテンツレイアウトの組み合わせを科学的に最適化できます。送信タイミングもAIが各顧客に最適な時間帯を予測して配信する「スマート送信」機能を搭載しており、開封率の最大化に貢献します。リッチテキスト、画像、ボタン、カウントダウンタイマー、商品フィードなど多彩なコンテンツ要素を自由に配置でき、HTMLの知識がなくても高品質なメールを作成可能です。
📌 フロー(自動配信シナリオ)
Klaviyoの最も強力な機能の一つが「フロー」と呼ばれる自動配信ワークフローです。ビジュアルフローエディタで複雑な条件分岐を直感的に設定でき、顧客の行動(カート放棄、商品閲覧、購入完了、レビュー投稿、サイト訪問など)をトリガーにした自動メール配信が可能です。ウェルカムシリーズ、カート放棄リマインド、購入後フォローアップ、ウィンバック(休眠顧客の復活)、誕生日お祝い、値下げ通知など、EC運営に必須のシナリオがプリセットで用意されており、テンプレートを選んでカスタマイズするだけですぐに運用を開始できます。条件分岐の自由度が非常に高く、購入金額、購入回数、閲覧商品カテゴリ、地域、デバイス種別など細かな条件でメール内容を出し分けられます。待機時間の設定も柔軟で、「3日後」「次の火曜日」「顧客のベストタイムに」といった指定が可能です。
📌 セグメンテーション
Klaviyoのセグメンテーションエンジンは業界最高レベルの精度と柔軟性を誇ります。購入履歴、閲覧行動、メール開封率、クリック率、サイト訪問頻度、地理情報、デバイス情報、カスタムプロパティなど、多次元のデータを自由に組み合わせてリアルタイムにセグメントを構築できます。セグメントは動的に更新されるため、顧客の状態変化に即座に対応したマーケティングが実現します。たとえば「過去30日以内に商品を閲覧したが購入していない新規訪問者」「3回以上購入し合計金額が5万円以上のVIP顧客」「直近のメールを3回連続で未開封の休眠予備軍」といった高度なセグメントを、コーディング不要で簡単に作成できます。
📌 予測分析(AI/機械学習)
Klaviyoは蓄積された顧客データを独自の機械学習エンジンで分析し、次回購入日の予測、顧客生涯価値(CLV)の算出、チャーンリスク(離脱リスク)の数値評価などを自動で行います。これにより「離脱しそうな顧客に先手を打ったリテンション施策」「VIP候補を早期に特定して特別待遇を提供」といった先回りマーケティングが実現します。AI件名生成機能ではキャンペーンの内容に最適な件名候補を複数提案し、スマート送信時間の最適化もAI機能の重要な一部として機能しています。
📌 SMS/WhatsApp/プッシュ通知
メール以外にも、SMS/MMS、WhatsApp(2025年追加)、モバイルプッシュ通知を幅広くサポートしています。マルチチャネルのキャンペーンをひとつのプラットフォームで統合管理でき、顧客の好むチャネルで最適なメッセージを届けることが可能です。SMSとメールの連携フローも構築でき、メール未開封者にSMSでリマインドする、購入直後にSMSでお礼メッセージを送るといった施策も容易に実現できます。
📌 フォーム・ポップアップ作成
サイト上のリード獲得用ポップアップやインラインフォーム、フライアウト、全画面オーバーレイ、スピンホイール(ガチャ形式のゲーミフィケーションフォーム)など多彩なフォームタイプをノーコードで作成できます。表示条件も細かく設定可能で、スクロール率到達時、一定時間経過後、離脱意図検知時(Exit Intent)などのトリガーでフォームを表示できます。メールアドレスやSMS番号の効率的な収集を支援し、リスト構築を加速します。
📌 レポート・アナリティクス
キャンペーンごとの開封率、クリック率、コンバージョン率、売上への貢献額、ROIなどを詳細に可視化するダッシュボードを提供します。ダッシュボードはカスタマイズ可能で、自社にとって重要なKPIを一目で把握できます。アトリビューション機能により、どのメール、どのフロー、どのSMSがどれだけの売上を生み出したかを正確に追跡・分析できます。レポートのエクスポートやAPIでの外部連携も可能です。
💰 料金プラン完全ガイド

Klaviyoはアクティブプロファイル数(有効な連絡先数)に応じた従量課金モデルを採用しています。2025年に料金体系が改定され、アクティブプロファイル数の増加に伴い自動的にプランがアップグレードされる仕組みになりました。日本円での決済にも対応しています。
Freeプラン(無料)
アクティブプロファイル250件まで利用可能です。月500通のメール送信と150 SMSクレジットが含まれます。Eメールサポート付き。小規模ECの立ち上げ期や、Klaviyoの機能を試したい方に最適です。フロー、セグメンテーション、フォームなどの主要機能はすべて利用可能です。
Emailプラン(月額20ドル〜 / 約3,000円〜)
251〜500プロファイルで月額20ドルからスタートします。月5,000通以上のメール送信が可能で、プロファイル数に応じて段階的に料金が上昇します。1,000プロファイルで約30ドル、5,000プロファイルで約100ドル、10,000プロファイルで約150ドル、50,000プロファイルで約700ドルが目安です。メールマーケティングのみを利用する場合に適しています。
Email + SMSプラン(月額35ドル〜 / 約5,250円〜)
Emailプランの全機能に加え、SMS/MMS送信、WhatsApp連携が追加されます。251〜500プロファイルで月額35ドルからスタートし、1,250 SMS/MMSクレジットが含まれます。マルチチャネルマーケティングを展開したいEC事業者向けです。追加SMSクレジットは別途購入可能です。
注意すべきポイント
2025年の料金改定により、連絡先リストの自然増加に伴い自動的にプランがアップグレードされるようになりました。意図せず料金が上がらないよう、定期的にリストクリーニング(非アクティブ連絡先の削除・サプレス)を行うことが極めて重要です。大規模リスト(50,000件以上)では月額が数百〜千ドル台に達するため、リスト規模に対する費用対効果を常に意識する必要があります。
🌏 日本語対応の実態
Klaviyoの管理画面(ダッシュボード、設定画面、レポート、ヘルプドキュメントなど)は2026年3月時点で英語のみの提供です。日本語UIは実装されていません。しかし、メール本文、SMS本文、フォーム、ポップアップの内容は日本語で自由に作成・配信が可能であり、受信者側の体験には一切の問題はありません。運営側が英語の管理画面で操作することが前提となりますが、画面構成は直感的であるため、基本操作は英語が苦手な方でも比較的短期間で習得できます。公式のカスタマーサポートは英語のみですが、日本国内にはKlaviyoの導入支援を行うShopifyパートナーやマーケティングエージェンシーが複数存在しており、日本語でのサポートを受けることが可能です。なお、日本市場特有のLINE公式アカウント、楽天市場、Yahoo!ショッピングとの直接連携は現時点ではサポートされていないため、日本のEC事業者がKlaviyoを最大限に活用するには、ShopifyやWooCommerceなどの自社ECサイトが主たる運用基盤となります。
✅ メリット5つ
1. EC特化の圧倒的なデータ連携力
Shopify、WooCommerce、BigCommerce、Magento、Wixなど主要ECプラットフォームとワンクリックで連携し、注文データ、カートデータ、商品閲覧データ、顧客プロファイルをリアルタイムに取り込みます。この豊富な行動データに基づくセグメンテーションとパーソナライゼーションの精度は、汎用メールマーケティングツールでは到底実現できないレベルです。300以上のインテグレーションが利用可能です。
2. 高度な自動配信フロー(フロー機能)で24時間収益化
ビジュアルエディタで複雑な条件分岐を含む自動配信シナリオを構築でき、カート放棄、ウェルカムシリーズ、購入後フォローアップなどECに必須のフローがプリセットで提供されます。一度設定すれば24時間365日自動で稼働し続け、売上の30〜50%をフローが生み出すケースも珍しくありません。
3. AI/機械学習による先回りマーケティングの実現
顧客の次回購入日予測、生涯価値(CLV)算出、離脱リスク評価をAIが自動で行い、「このタイミングでこの顧客にこのメッセージを送るべき」という最適解を導き出します。専任のデータサイエンティストなしで高度な予測分析マーケティングを実践できるのは大きな競争優位です。
4. マルチチャネルの統合管理でカスタマージャーニー最適化
メール、SMS、WhatsApp、プッシュ通知をひとつのプラットフォームで統合管理でき、チャネル横断のカスタマージャーニーを設計できます。「メール未開封→SMS送信→それでも反応なし→プッシュ通知」というエスカレーションフローも簡単に構築できます。
5. 充実した無料プランとスムーズなスケーラビリティ
250プロファイルまでの無料プランで、フロー、セグメンテーション、フォームなど主要機能をすべて体験できます。ビジネスの成長に合わせて段階的にスケールアップでき、スタートアップから年商数十億円規模の企業まで対応できる拡張性を持っています。
✅ デメリット3つ
1. リスト増加に伴うコストの急激な上昇
アクティブプロファイル数に応じた従量課金のため、顧客リストの成長とともに月額費用が加速的に増加します。10,000件を超えると月額150ドル以上、50,000件では約700ドル、100,000件では1,000ドルを超えることもあり、急成長するECサイトでは予算管理に注意が必要です。リストクリーニングを怠ると、非アクティブ顧客にも課金され続けるため、定期的なメンテナンスが必須となります。
2. 多機能ゆえの高い学習コスト
フロー設計、高度なセグメンテーション、Liquidテンプレート言語によるダイナミックコンテンツ、Webhook連携、カスタムイベント設定など、機能の幅と深さが膨大です。すべてを使いこなすまでには相当の学習時間が必要で、マーケティング初心者にはオーバースペックに感じられることがあります。英語のみの管理画面も日本ユーザーにとってはハードルを上げる要因です。
3. 日本市場特有のチャネル・プラットフォームとの非連携
LINE公式アカウント、楽天市場、Yahoo!ショッピング、PayPayモールなど日本市場で重要なチャネルとの直接連携がありません。国内モール中心のEC事業者には活用範囲が大きく制限されます。Shopifyを主力とする越境ECや独自ドメインのECサイト運営者には最適ですが、日本のEC市場の特殊性を考慮する必要があります。
💡 具体的な活用事例・ユースケース5つ

1. カート放棄リカバリーで月間売上10〜15%増を実現
ECサイトでカートに商品を入れたまま離脱した顧客に対し、30分後に「お忘れではありませんか?」リマインドメール、24時間後に商品画像付きフォローアップメール、72時間後に10%割引クーポン付き最終メールを自動配信する3段階フローを構築。業界平均で5〜10%のカート放棄回収率を達成でき、月間売上の10〜15%増に貢献する事例が多数報告されています。
2. 購入履歴ベースのパーソナライズド商品レコメンデーション
顧客の過去の購入履歴と閲覧行動データをAIが分析し、各顧客に最適な商品レコメンドを自動生成してメールに動的挿入。「あなたへのおすすめ」メールのクリック率は通常の一斉配信メールの2〜3倍に達し、クロスセル・アップセルの売上向上に直結します。アパレルECでは購入したトップスに合うボトムスを提案するコーディネートメールが高い成果を上げています。
3. 予測分析によるVIP顧客の早期発見と育成プログラム
AIのCLV予測スコアで高価値顧客候補を早期に特定し、VIP限定の先行セール案内、送料無料特典、限定商品の先行予約権、誕生日特別クーポンなどの特別プログラムを自動配信。VIP顧客のリテンション率を20〜30%向上させ、顧客生涯価値(LTV)の最大化を実現した事例があります。
4. 新商品ローンチのマルチチャネル統合キャンペーン
新商品の発売に合わせて、1週間前のティーザーメール→3日前のカウントダウンメール→発売日のSMS速報→購入者への即時サンキューメール→未購入者への3日後フォローアップメールという一連のキャンペーンをフローで自動化。各チャネルのパフォーマンスデータをリアルタイムで分析し、次回ローンチの最適化にフィードバックします。
5. 休眠顧客のウィンバック(復活)で売上底上げ
90日以上購入のない顧客を自動セグメントし、段階的なウィンバックフローを実行。「最近お見かけしません」メール→「特別に15%OFFクーポンをご用意」→「最後のチャンス:クーポン期限は明日まで」という3段階フローで、休眠顧客の15〜20%を再アクティブ化した実績が報告されています。反応がない顧客はサプレスリストに移行してコストを削減します。
🚀 始め方ステップバイステップ
ステップ1:無料アカウント作成
Klaviyo公式サイト(klaviyo.com)にアクセスし、メールアドレスとビジネス情報を入力して無料アカウントを作成します。クレジットカードの登録は不要で、即座に利用を開始できます。
ステップ2:ECプラットフォームとの連携設定
Shopifyの場合はShopify App StoreからKlaviyoアプリをインストールし、ワンクリックで連携を完了します。注文データ、顧客データ、商品カタログが自動的に同期され、過去の購入データも取り込まれます。WooCommerceやBigCommerceも同様にプラグインで連携可能です。
ステップ3:初期セグメントの作成
連携後に取り込まれた顧客データを基に、基本セグメント(全購入者、リピーター、未購入者、VIPなど)を作成します。テンプレートが用意されているため、条件を選択するだけで簡単にセグメントを構築できます。
ステップ4:最重要フローの設定と稼働
まずはROIが高い「カート放棄フロー」と「ウェルカムシリーズ」の2つから設定を始めましょう。プリセットテンプレートを選び、自社ブランドに合わせてメール内容・デザインをカスタマイズし、フローをオンにするだけで自動配信が始まります。
ステップ5:フォーム設置とリスト構築
サイトにポップアップフォームを設置してメールアドレスの収集を開始します。表示条件(タイミング、ページ、デバイスなど)を設定し、インセンティブ(初回10%OFFなど)を提供することでリスト構築を加速できます。
💡 活用のコツ・裏技
リストクリーニングのサンセットポリシーを自動化する
「90日間メール未開封」の顧客を自動でサプレスリストに移行するフローを構築しましょう。配信到達率の維持、エンゲージメント率の向上、コストの最適化を同時に実現できます。四半期ごとに完全未反応の連絡先をリストから削除するルーチンも重要です。
フローの各ステップにA/Bテストを設定する
フロー内のメールに対してA/Bテストを設定し、件名、コンテンツ、送信タイミング、割引額、CTAボタンの色やテキストなどを継続的にテストすることで、コンバージョン率を段階的に引き上げられます。小さな改善の積み重ねが年間売上に大きな差を生みます。
Liquidテンプレート言語で超パーソナライゼーションを実現
KlaviyoはShopifyと同じLiquidテンプレート言語をサポートしており、if/else条件分岐、forループ、変数演算を使った高度なパーソナライゼーションが可能です。性別、購入カテゴリ、地域、会員ランクなどに基づいて1通のメール内でコンテンツブロックを動的に出し分ける手法をマスターすると、パフォーマンスが劇的に向上します。
UTMパラメータとGA4連携でマーケティング全体のROIを可視化
すべてのメール・SMSリンクにUTMパラメータを自動付与し、Google Analytics 4(GA4)と連携することで、Klaviyo経由の売上貢献度を広告費やSNS施策と横並びで比較・評価できます。マーケティング予算配分の最適化に必須の設定です。
🎯 向いている人・向いていない人
🎯 向いている人
- ▸Shopifyなどで自社ECサイトを運営し、データドリブンなCRMマーケティングを実現したいEC事業者・マーケター
- ▸メールマーケティングの自動化により24時間収益を生み出す仕組みを構築したい方
- ▸顧客セグメンテーションとパーソナライゼーションを精緻に行い、顧客LTVを最大化したい方
- ▸マルチチャネル(メール+SMS+WhatsApp)のカスタマージャーニーを統合設計したい事業者
- ▸データ分析とABテストに基づいたPDCAを高速で回したいグロースマーケター
- ▸越境ECで海外顧客向けのマーケティングを展開したい事業者
📌 向いていない人
- ▸ECサイト以外(BtoBサービス、メディア、教育機関、非営利団体など)がメインビジネスの組織
- ▸日本語UIが必須要件で、英語の管理画面での日常運用に強い抵抗がある方
- ▸LINE公式アカウント連携や楽天市場でのマーケティングが最重要の国内モール中心EC事業者
- ▸シンプルなニュースレター配信だけで十分で、高度な自動化やセグメンテーションは不要な場合
- ▸月額コストを最小限に抑えたい小規模事業者(リスト増加に伴うコスト上昇を許容できない場合)
📊 総合評価とまとめ
Klaviyoは、EC事業者向けマーケティングオートメーションプラットフォームとして、2026年現在も業界トップクラスのポジションを堅持しています。Shopifyとの深い統合、業界最高水準のセグメンテーション、AIを活用した予測分析、直感的なフロー構築機能、マルチチャネル対応は、データドリブンなEC運営を目指す事業者にとって非常に強力な武器となります。一方で、リスト規模に比例するコストの急上昇、多機能ゆえの高い学習コスト、日本市場特有のチャネル(LINE、楽天など)への非対応は、日本のEC事業者にとって考慮すべき課題です。ShopifyベースのD2Cブランドや越境ECを運営し、顧客データを最大限に活用した精緻なマーケティングを志向する事業者にとっては、投資に見合う十分なリターンが期待できるプラットフォームです。まずは250プロファイルまで無料で使えるFreeプランで基本機能を体験し、自社のマーケティングニーズとの適合性を見極めることをお勧めします。


